第2章23項
壁土

■荒土壁

粘りのある土にスサ(わら)を混ぜ、水で練り合わせ約半年間寝かせると、わらが発酵し、ねずみ色を帯びてくる。最終的に再度わらを加え混ぜて使う。こうすると土とわらがよくなじみ、塗ってからも強度を増す。

■柾土(まさつち)

粘土より粘りのない砂が多い土で、壁塗りの段階で荒塗りの次の中塗りに使われる。スサ(わら)も荒塗りのスサより細かくなる。

■究極の壁材「漆喰」(しっくい)

昔の寺院、公家や武家屋敷の壁によく使われ実に美しい色合いを見せる。ありがたいことにこの原料である石灰は、100%国内生産で賄える豊富な天然資源である。
漆喰は石灰を焼いて生石灰(きせっかい)にして、水を加えて消石灰にしたものである。その秀れた特徴として次のことが挙げられる。
高い吸放湿性があり、冬の結露を抑え、部屋のジメジメ感をとり除く働きがある。
又、ホルムアルデヒドなど新建材や家具類に含まれる化学物質から出る揮発性有毒ガスなどを吸着してくれる。ペットやたばこの臭いも吸着する。ほこりなどのよごれをつけず20年以上経っても変色が少ない特性も持っている。

■漆喰の種類

普通の一般的によく使われる白漆喰の他に「土佐漆喰」と言って塩焼製法の良質の消石灰に発酵して茶色くなったわらスサを混ぜ、水練りした上、半年程寝かせ熟成させる。わらスサが細かく分解してなじみ、卵色の粘りのある漆喰が出来上る。普通の漆喰より耐久性が高い。