第4章2項
建具の現況(2)

読者のみなさんに今後の参考のため、次のドア・引戸と続いて読んでもらいたい。

■ドア・引戸

ドアは構造上、戸締りがよいが引き戸は開閉が楽で、場所も取らず外気や採光の調節が自在である。
枠の中に入る板を鏡板と言い、一枚板のものが最も良い。材質は杉、タモなど木目の美しいものが使われる。
枠材には檜、杉、神代杉(じんだいすぎ)、ナラ、カシ、タモなどの素材を使う。

木くずを接着剤で固め、ポリエチレンやメラミンなどの樹脂で表面を皮膜した「パーティクルボード」や芯材をはさんで両面にベニヤ板の化粧合板を張り合わせ、中は空洞の「フラッシュ戸」などは無垢材の本物らしく見せるまがいものであるので、建具を選ぶ時には出来れば切断面を見て合板か、木くずや紙を固めた芯材か、無垢材かを調べたり、軽くたたいて中が空洞か詰っているかを確かめることが大切である。

この他、集成材を芯にして、表面に木目の美しい木を薄く削って貼った「集成突き板」を使った建具や合板を芯材にして両面に化粧板を張った「ベニヤ合板」などの建具もあるが、あきらかに本物の無垢材を使った建具ではないのでその違いを見抜く目を養ってもらいたいと思う。

■格子戸

格子戸は、さかのぼると書院建築から端を発したものであると思われる。もともと書院造りの濡縁(ぬれえん)の脇障子などにある扉に格子戸を付けるようになった繊細な建具の一つである。
格子は一般の民家でも昼間は陽の光で内側が見えず、内側からは外がよく見える造りで今でも京の町屋に多く見られる建具である。
今回の格子戸は、玄関出入口に小間返し連子格子戸を設けた。内側にはガラスをはめてある。
用材は檜で椹(さわち)も使うことがある。

■ガラス戸

縁側には枠が幅広の防寒ガラス戸が良く、枠の作りはひも出し隅丸で素材は主に檜を使った。施主さんの好みである。
今はほとんど枠や戸がサッシになっているが、縁桁などのある本格建築には合わない。