建具 日本伝統文化の家 株式会社ふじもと工務店

せっかく無垢材の家を建てても建具が紙やビニールシート等でベニヤ板にプリント貼りしたまがいものでは建物と釣り合わず安っぽくなってしまう。
貼り物建材の建具は有害な接着剤を使うので体に悪い影響を及ぼすことになる。やはり伝統文化の建具は本物の木で造られなければ本当の味わい深い良さが出てこない。建具そのものは立派な工芸品で伝統技術で培われた美しさがある。

ドア・引戸

ドアは構造上、戸締りがよいが引き戸は開閉が楽で場所もとらず外気や採光の調節が自在である。枠の中に入る板を鏡板と言い、一枚板のものが最も良い。材質は杉、タモなど木目の美しいものがよく使われる。枠材は檜、杉、神代杉(じんだいすぎ)、ナラ、カシ、タモなどを使う。
木くずを接着剤で固め、ポリエチレンやメラミンなどの樹脂で表面を皮膜したパーティクルボードや芯材をはさんで両面にベニヤ板の化粧合板を張り合わせ中は空洞のフラッシュ戸などは無垢材の本物らしく見せるまがいものであるので注意が必要である。

格子戸(こうしど)

格子戸はさかのぼると書院建築から端を発したものであると思われる。もともと書院造りの濡縁の脇障子などにある扉に格子戸をつけるようになった繊細な建具のひとつである。
格子は一般の民家でも昼間は陽の光で内側が見えず内側からは外がよく見える造りで今でも京の町家に多く見られる建具である。
玄関出入り口に小間通し連子格子戸を設け、内側はガラスをはめる。
用材は檜がよいとされる。

ガラス戸

縁側には枠が幅広の防塞ガラス戸がよく、枠の造りはひも出し隅丸で素材は主に檜である。
今はほとんど枠や戸がサッシになっているが縁桁などのある本格建築には合わない。

雨戸(あまど)

木枠のガラス戸の外に取り付ける雨戸は杉で造られたものが多い。本格を求めるならサッシなどはさけたいものである。
収納する袋戸も鎧細工が一番似合う。この雨戸がほんとうに少なくなったのは残念なことである。しっかりと造ったものは防犯上びくともしない。
杉は夏涼しく、冬暖かい木の持つ特性があり、サッシは全くこの逆になる。毎日の開閉が少し面倒な感じもするがこれも日本古来の住まいの一つであり趣があって落ち着いた家風を思わせる。

舞良戸(まいらど)

舞良戸は中期後期あたりからそれまで上げる操作の蔀戸(しとみど)から引き戸に順次変わって来た。近世初期の特に武家住宅などでは舞良戸と明け障子が一般的となった。
書院造りの厳然とした風格の中に美しさを醸し出している舞良戸は現代においてもその優雅な姿はもっと活用してもよいのではないかと思われる。形は横桟の多い横繁舞良戸がよく用材は檜もよいが欅(けやき)の重厚な味もよい。

障子(しょうじ)

和室には縁や廊下と居室との仕切りに明かりを採り入れるための建具が設けられ、縦横に桟を渡して出来た小さい枠に和紙を貼ったものである。格子を上下に動かすと下のガラス面が出てくる「摺り上げ障子」「雪見障子」や「横繁障子」「縁側丸障子」など多種があり、いずれも落ち着いた和室の雰囲気をつくりだす。素材は杉、檜が使われる。
摺り上げ障子や雪見障子の腰板には屋久杉を使いそのまわりの枠に神代杉(じんだいすぎ)を隅丸として使うと屋久杉とのコントラストが美しい。

書院(しょいん)

和室には昔から造られており、床の間の脇に窓付の張り出しのある客間で、もともと書斎、学者の居室に造られていた。
細工ものがあり、「組子細工」で絵模様を入れて趣きあるものである。
素材は杉、檜などがよいとされている。

襖(ふすま)

和風の部屋、押入れの仕切りなどに使う和紙・布を貼った戸、ふすま障子。「手漉本鳥の子ふすま紙」が最良の品と言われ、日本の紙幣にも使われている。又、中抜きして「組子細工」を入れたものもある。

欄間(らんま)

部屋の通風や採光を良くするため天井と鴨居や長押(なげし)との間に格子や透し彫りの板をはめ込んだ部分を言う。
「組子欄間」や「彫刻欄間」「透し欄間」など芸術性の高い細工もので杉、檜、桐などが素材として使われている。


造作 日本伝統文化の家 株式会社ふじもと工務店

天井

竿縁の杉の平天井が目に入ると日本人は居室での安らぎが充足されるのである。
天井は採光を柔らげ温度の調節を行う役目がある。
格天井(ごうてんじょう)、網代天井(あじろてんじょう)、竿縁天井(さおふちてんじょう)があり、最も一般的に造られるのは竿縁天井である。
天井板には杉の柾目が一番多いが中杢(なかもく)も味わい深い趣を出す。
日本伝統の竿縁天井が和室にはしっくりと調和する。

鴨居(かもい)

鴨居は敷居と一対の型をとっている。鴨居から上部の荷重を支え、柱のねじれを防ぐ鴨居と構造的に補強する差鴨居がある。
用材は普通の鴨居は杉や檜、差鴨居は松を使う。
真壁構法ではそのまま見せるのが多く柱との取付けは横柄、繰り出し柄などの仕口を用いる。

縁側

縁側は憩いの場所、冬など日なたぼっこにもってこいである。
庭と座敷を結ぶ中間の部屋としても利用価値が高い。
素材としての松は檜より陽射しに強く、脂があり湿気に強い松を使うのがよいとされているが檜も使われる。縁側天井には台杉の磨き丸太に小舞打して赤松の柾目仕上げしたものを化粧板として用いる。

玄関上り框(あがりかまち)式台

玄関を入ると必ず式台があり、次いで上り框がある。そこにびょうぶが立てられここでまず来客の対応をするのである。
上り框には檜、欅(けやき)などが使われる。
現代は玄関土間につくり付の靴箱が造られているのが多い。
玄関天井は格天井にして赤杉で組み、美しさと伝統工法を見せるのもよい。

囲炉裏(いろり)

日本人の郷愁と呼ばれる囲炉裏は人の心に安らぎとゆとりを与えるものである。
昔は照明の役割もし、暖房と炊事を目的として造られたもので家族が集まることが一番多い場所であった。
床面に正方形に切った炉の素材は松がよく、自在鉤を天井から吊るし、大型の鉄鍋を据えると趣がある。

越屋根(こしやね)

大屋根の一番上に設ける小屋根が越屋根で自然の換気や採光を採り入れる窓を設け、一階広間から二階に吹き抜けを組み合わせ自然の通り風を通したり遮ったり、採光も室内いっぱいに入れることも出来、天然のエアコンの役目をする。

納戸(なんど)

昔はほとんどの家に造られた小部屋ですぐに使わない道具類など収納範囲は多い。室内には棚も設け、壁、天井は調湿のよい杉板を使う。
建具は舞良戸の引き戸にすると和風の趣がある。

番匠の家(施工例)